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長崎派とは?江戸時代の日本美術の一流派を紹介

今回は、江戸時代の日本美術の一流派である「長崎派」について紹介したいと思います。長崎派とは、鎖国体制下において、オランダや清朝との交渉があった長崎で生まれた、諸画派の総称です。長崎は外国文化と接触の多かった港町であり、絵画においても新様式が次々と流入し、多様な展開を見せました。長崎派は以下のような6つの画派に分けられます。

目次

漢画派(北宗画派)

  • 1642年に来日した黄檗僧逸然性融を祖とし、河村若芝・渡辺秀石などが継承した画派です。
  • 明・清画の影響が強く、羅漢・達磨・布袋などの道釈人物画や山水画を得意としました。
  • 長崎漢画や唐絵とも呼ばれ、長崎派の主流とされます。

黄檗派

  • 黄檗宗の渡来僧がもたらした黄檗美術のうち、頂相と呼ばれる肖像画を中心とした画派です。
  • 曽鯨という明代の肖像画家の流れを汲む様式で、色彩豊かで陰影法を用いた写実的な表現が特徴です。
  • 喜多長兵衛や喜多元規などが代表的な画家で、黄檗僧だけでなく在留唐人や大名など各地に肖像画を残しました。

南蘋派

  • 1731年に来日した清朝の画家沈南蘋とその一派による画派です。
  • 細密な彩色花鳥画に特徴があり、写実性を追求する姿勢が見られます。
  • 円山応挙や伊藤若冲など新興の画家に大きな影響を与えました。

南宗画派(文人画派)

  • 1720年に来日した伊孚九を始めとする清朝の文人画家に学んだ画派です。
  • 南宗画(文人画)の技法や理念を取り入れ、山水画や花鳥画を描きました。
  • 鉄翁祖門や木下逸雲など幕末期に活躍した文人画家を輩出しました。

洋風画派

  • オランダ人によって西洋画法が持ち込まれたことに刺激された画派です。
  • 遠近法や陰影法などを用いて西洋人や西洋風俗などを描きました。
  • 若杉五十八や荒木如元、川原慶賀などが有名な画家です。

長崎版画

  • 外国船や西洋人、中国人などに取材した木版画の一派です。
  • 1645年に刊行された『万国総図』が最初の作品とされ、文化文政期に最盛期を迎えました。
  • 綿絵とも呼ばれ、色鮮やかで写実的な表現が特徴です。

以上が長崎派の概要です。長崎派は、海外からの文化を真っ先に受けた長崎の特異な土壌が形成した日本美術の一流派であり、江戸時代の画壇に多大な影響を与えました。長崎派の作品は、長崎県立美術博物館や東京国立博物館などで見ることができます。ぜひ一度ご覧になってみてください。

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